続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
旬とミキだって、付き合い始めたきっかけが、部活の最後の試合、なんて、ありがちなことだけれど、奈津美にとっては、新鮮に思える。
奈津美と付き合うきっかけを考えて比べてみると、何だか恥ずかしい。
元々、旬にとっては、奈津美との出会いのほうが特殊だったのかもしれない。
酔った女に絡まれ、付き合う云々の前に男女の関係になるなんて、当時十八歳の旬にとっては、有り得なかったことだろう。
しかし、どうして……
「奈津美さん?」
「……え?」
加奈に呼ばれ、顔を覗き込まれて、奈津美は我に返る。
「どうしたんですか? ……あ、奈津美さんまで気にしないで下さいね!」
「え?」
「あたしは別にそういう意味でかっこいいって思ったわけじゃないですから」
加奈が何やら必死になって訴えている。
一瞬何のことか分からなかったけれど、そういえば旬の話をしていたのだ。
きっと、奈津美が加奈の発言を変に思ったのではないかと心配したのだろう。
「ううん……違うの」
奈津美は、小さく首を横に振った。
「ただ、ね……何で、二人は別れたのかなぁって、思って」
気になることはたくさんあるけれど、やっぱり一番気になるのはそのことだった。
「そう言えば何で? 何がきっかけで別れたの?」
加奈も詳しくは知らないらしく、答えは涼介に求められる。
「えーっと……俺もそれはよく知らないって言うか……俺が、旬とミキが別れたって知ったの、少ししてからだったから……旬は別に詳しく話したがらなかったし」
涼介はそう言いながら頭を掻いた。
「でも、多分旬が大学落ちて、それで気まずくなって……って感じで別れたんだと思います。旬のやつ、ミキと同じ大学受けたんですけど、旬だけ落ちちゃって」
そうか。そういうことか。
前に居酒屋で聞いた、旬が大学落ちたのが原因でミキと別れたと言っていたのが、何となく分かった気がする。
でも、旬は振られたと言っていた。
それなら、それを機に愛想を尽かしたのはミキの方というわけで、旬は別れたいと思っていたわけではないのではないか。