続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
再会
数日後の夕方。
旬はカフェのバイトをしていた。
前に雑誌で宣伝された効果もあって、ここのところ、そこそこの忙しさだ。
「いらっしゃいませー」
店の扉が開き、手の空いていた旬が客に声をかける。
「……あ」
その客の顔を見て、旬は思わず素の声を出してしまった。
「げっ!」
客の方も、旬の顔を見ると、眉間に皺を寄せた渋い顔になった。
「田中じゃん! 久しぶりー」
旬は、笑顔で声をかけた。
田中とは、旬と同じ高校で、三年の時に同じクラスだった。
会うのは、数ヶ月前に、旬が田中に借りたCDを返した時以来だ。
「旬……ここでバイトしてんの?」
「おう。言ったことなかったっけ?」
「……最っ悪」
田中は深く息を吐きながら、強調して言った。
「ねえ、友達?」
田中の陰から、ひょっこりと女が出てきた。
旬や田中と同い年くらいの可愛らしい娘だ。
旬は彼女に目をやり、口を『おっ』という形にした。
そして、視線はその二人の繋がれている手にいく。
視線に気付き、田中は手をさっと後ろに隠した。
それを見れば一目瞭然だ。
旬はにんまりと笑う。
「……なあ、やっぱやめねぇ? この店」
田中は嫌そうな顔をして隣の彼女に言う。
「えー。やだぁ。ずっと来たかったのにー」
彼女は猛反対している。
田中は彼女には敵わないらしく、深くため息をついた。
「じゃあ二名様ですね。こちらのお席にどうぞ」
旬はマニュアル通りの接客を、必要以上に丁寧に言った。
「……何かムカつく、この店員」
田中は旬に聞こえるように舌打ちをして言った。