続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
カフェのバイトが終わり、旬はぼんやりとしながら家までの道を歩いていた。
「私、沖田君のこと好きになったの」
ミキにそう言われたのは、高三の夏。部活を引退して少し経ったぐらいの時だった。
ミキに言われて、最初は驚いた。
まさかミキが自分のことを、というのが勿論一番だったけれど、告白の台詞が少し変わっていたから。
今までにも数回告白されたことはあって『好きなの』とか『付き合ってほしいの』などと言われた。
しかし、告白で『好きになったの』は、聞いたことのない言葉だった。
だから呆気に取られた。
でもそれ以上に、可愛いと思った。
必死の表情で、頬を赤くして、じっと自分を見ている。
そんな彼女を、単純に可愛いと思った。
以前から、男子の間で可愛いと言われているということは関係なく、ミキという存在が、可愛いと思った。
この時は、ミキのことは、恋愛対象として特にどうとも思ってなかった。
ただの同級生、ただの部活仲間としか思っていなかったけれど。
単純かもしれないけれど、この瞬間に旬の目には、ミキが特別に映った。
きっと俺も好きになるんだろうな。
直感的にそう思い、旬はミキの告白を受け入れて、付き合い始めた。
勿論、いい加減な気持ちではなかったし、むしろその時で一番の気持ちだった。