続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
ミキと付き合っている間は、楽しかった。
受験生だったから、あまりしょっちゅうはデート出来なかったけれど、学校から一緒に帰ったり、ミキの家で勉強したり……
そんな付き合い方の中で、キスもしたし、体も重ねるような関係にもなった。
もし、旬が大学に受かっていたら、まだミキと付き合っていたかもしれない。
そんなことを考えても、今の旬には奈津美がいるので、そうとは言い切れないけれど。
そうだ。奈津美と付き合い始めて今まで、ミキのことを思い出したことなんてなかったのに……
この間ミキと会ったからだろうか。
それとも、田中にあんなことを聞いたからだろうか。
こんなことを考えていると、やましいことはないはずなのに、何だか奈津美に対して悪いことをしているような気がする。
奈津美と付き合い始めてからは、旬の頭の中の大半は奈津美のことで占められていた。そのせいなのか。
「あ……」
ぼんやりしてした視界が急にはっきりとした。
旬の視線の先には、歩く奈津美の後ろ姿があった。
後ろ姿でも、旬には、それが奈津美だということはちゃんと分かる。
旬は、歩く速さを上げて、奈津美を追い掛けた。
「ナーツっ」
旬はいつものように、後ろから奈津美に抱き付いた。
「きゃっ」
奈津美は肩を震わせ、小さく叫んだ。
「旬!?」
奈津美はすぐに後ろに振り返る。
「へへー。ナツぅ」
旬は笑いながら奈津美を抱き締める。
「もうっ。いきなり抱きついたりしないでって何回言ったら分かるの……ていうか、離して! 人居るから!」
奈津美は旬の腕から逃れようとする。すると、その前に旬の腕の力が抜けて、奈津美が解放される。
「へへっ」
旬はいつもの、気が抜けるような笑い方をする。
しかし、いつもはしつこいぐらいにくっついて、なかなか放そうとしないのに、何だか調子が狂う。
だからと言って、いつも通りにしてほしいわけではないが。