続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
高校時代の部活は、本当にいい加減だったと、今になって旬は自分でも思う。
でも、やりたいことがたくさんあって、それを同時にやろうとしたら、部活の方がおざなりになってしまっていたのだ。
そして、そのせいでサボり癖がついて、部活はキツいトレーニングの日はあまり来ないようになっていたのだ。
「そんなに練習に来ないくせに、それなりに上手いし。毎日来てる部員からしたら嫌味だよ」
ミキは尚も棘のあることを言う。
「別にそんなつもりはなかったんだけど……」
なぜか、昔の部活のことで旬の方が圧倒的に立場が弱くなっている。
「うん……分かってるよ」
口元には笑みを浮かべて、ミキは目を伏せた。
「最後の試合の時、旬が試合に出たでしょ」
ぽつりぽつりと、思い出していくようにミキは言った。
「その時ね、私、外から見てて思ったんだけど、旬が入る前と入った後だったら、コートの中の雰囲気が違ったの」
「……そりゃ変わるだろ? メンバー変わったらさ」
旬はどうしてミキがそんな話をするのか不思議に思いながらも、思ったことを言って返す。
「ううん。そんなんじゃなかったよ。旬が入ってから、皆の動きが良くなって、雰囲気もぐっとよくなったもん。コートの中だけじゃなくて、控えとか、後輩達も」
ミキは視線を上げ、遠くを見つめた。その先には、当時の光景が見えているかのようだ。
「旬って、それまでちゃんと試合に出たの、練習試合だけだったでしょ? だから分からなかったんだけど……私、その時初めて気付いたの。旬は、周りの人を一つにすることができるんだって」
「そ……そう、かな?」
そんな風に言われると、照れ臭くて、旬は頭を掻きながら言った。
何だか調子が狂う。
いつも、どのようにしていたのだろう。自分でもそれが分からないくらいだった。
「そうだよ。……それで私は、旬のこと見直して……好きになってた。告ったのは、話の流れで、勢いだったけどね。今しかないって思って……緊張して変な言い方になっちゃったけど」
ミキはそう言って苦笑する。