続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

 あの時のミキの「好きになったの」という言葉には、そんな気持ちがあったのか。

 別れて一年以上経って、やっと知ったことだった。


「旬にOKもらって、凄く嬉しかったよ。付き合い出してからも、旬は私のことすごく大事にしてくれて……すごく楽しかった。だから……ありがとう」

 ミキはそう言って旬に笑顔を向けた。


 しかし、笑顔の瞳が、どんどん潤んでいき、溜まりきらなかったものが溢れて、ミキの頬を伝った。


「ミキ……」

 旬は目を見開いて、ミキを見つめた。


 ミキはすぐに下を向いた。その拍子に、地面にポタリと雫が落ちた。


「ごめん……ごめんね。こんなつもりじゃなかったのに……絶対にウザくなるから、ダメだって分かってるの。……だけど、ごめん」

 ミキは手で顔を隠すようにしながら何度も謝った。


 泣いてしまったことに対してなのかと思ったら、それだけではないようだった。


「旬は、私のこと大事にしてくれてたのに……私、酷いこと言った」

 ミキは涙声で続けた。


「旬が大学落ちた時、私、凄い勝手だった。旬は、誰よりも私のこと応援してくれてて、喜んでくれてたのに……私は酷いことしか言えなかった」

 そこまでで、ミキは小さくグスッと洟を啜った。


「旬が……専門学校行くのやめたって聞いて……もしかしたら私が言ったことが原因なのかもって思ったら……私、取り返しのつかないことしちゃったから……」


 旬には、すぐに何を言ったらいいのか分からなかった。


 ただ信じられない気持ちだった。


 ミキが、別れてからも旬のことをそんな風に思っていたなんて……ミキの方から別れようと「旬と付き合える自信がない」と言ったはずなのに。


 ミキは、一年以上の間、ずっとそんなことを思い悩んでいたのか。


 旬はそんなことは考えていなかった。

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