続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「話したいって言われたんだ。これで最後だからって……」


「……うん」

 言うことが思い浮かばず、奈津美はただ頷いた。


「俺、ずっとミキのこと傷つけてたんだと思ってた。俺が、自分のことしか考えてなかったから……ミキのこと考えてなかったから……」

 旬は唐突にそんなことを言い始めた。


「だけど、ミキは、ミキの方が俺のことを傷つけたって、ずっと悩んでて……」

 旬の声が震えている。


「俺は、やっぱり俺のことしか考えてなくて……別れてからも、知らない間にミキのこと傷つけてた」

 旬の腕に力が入った。


「今更どうにもできないって、どうしようもないって分かってるけど……俺、どうしたらいいか分からなくなって……」


「旬……」


 はっきり言って、奈津美にとっては要領の得ない話だった。

 旬が元カノであるミキと会って、そこで色々話したのは分かる。

 でも、具体的にどんな話をしたかは全く分からない。


 ただはっきり分かるのは、話をする旬が辛そうなことだけだ。


 こんな時は、どうするべきなのだろう。何を言うべきだろう。


 ずっと考えているのに、ただ何もできず、何も言えないままだった。


「……ごめん、ナツ。こんなこと話して」

 旬の腕の力が弱まった。奈津美の体が旬から離れる。


「本当にごめんな」


 一体旬はどれだけ謝るのだろう。

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