続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「でも、ナツ。俺は今はナツが一番好きだよ」
丁度奈津美が考えていたこととリンクして、旬が言った。
「調子いいこと言ってるみたいに聞こえるかもしれないけど、でも、本当に大好きだから。今までにないぐらい、大好きで、大切だから」
ぎゅっと奈津美の体が抱き締められる。
「うん……」
奈津美も旬の体を抱き締め返した。
「ミキにも、早く、ミキのことを大切にしてくれる人が現れて欲しい。俺に、ナツが居てくれるみたいに……ミキにも誰かが居て欲しい」
「うん……」
旬の言葉に頷きながら、奈津美も、旬のことを大事にしたいと思った。
今まで思って居なかったわけではないけれど、改めて誓うように思ったのだ。
旬は当たり前のように奈津美の側に居てくれる。
だけど、それは当たり前なことではない。
旬が奈津美を選ぶと同時に、奈津美以外は選ばれなくなる。
例えそれが、どんなに旬のことを想っている者だとしても、選ばれることはない。
だから奈津美は、大切にしないといけない。旬のことも、旬への気持ちも。
今の奈津美と旬の関係は、誰かの想いを犠牲にして成り立っているものであるということを忘れてはならない。
奈津美は、自分の新たな気持ちと共に、旬のことを大切に抱き締めた。