続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
 髪も気分も軽くなったところで、奈津美はレンタルビデオショップに行った。


 まだ残ってるかな。


 土曜日の夕方という時間を気にしながら、奈津美は店内に入った。


 最後にこの店に来たのはいつだっただろう。


 棚の配置が変わっていて、新作DVDの場所を探すのに苦労した。


 案内の表示を頼りに辿り着くと、奈津美は目当てのものを探す。目立つところに並んでいて、すぐに見つかった。

 ほとんどが借りられている。しかし、最後の一つだけが残っていた。


 ギリギリセーフだ。寄ってみてよかった。


 奈津美はラストワンのDVDを手に取った。以前、旬と見に行ったことのある洋画だ。


 数日前にテレビCMでレンタル開始ということを知ったので、もしもあれば借りてみようと思ったのだ。

 丁度今日は旬が来る予定だし、旬と一緒に見よう。


 他に何かないか、店内を一周してみて、結局当初の目的のDVDだけを持って、奈津美はカウンターへと向かった。




「いらっしゃいませ」

 男性店員の応対だった。


「貸し出し期間はどうされますか? こちら、新作になりますので、最大で二泊三日になりますが……」

 丁寧な応対で、奈津美の方をじっと見て店員は尋ねてくる。


「じゃあ、二泊三日で」

 奈津美は答えながら、この店の会員カードを出した。


「あ、お客様。こちらは古い方のカードになりますが……こちらの新しいカードに作り直しましょうか」

 店員がレジの横にある会員カードの見本を指して尋ねる。


 どうやら、奈津美が暫く来ていなかった間に変わったのは、店の中だけではなかったようだ。


「はい」

 奈津美はとりあえず返事をした。

 今はしょっちゅうに来るというほどではないが、金を取られるわけでもないし、カードぐらい作っておいても支障はない。


「ではお手数ですが、こちらの用紙にご記入いただけますか?」


「はい」


 用紙とボールペンを渡されたので、奈津美は、名前、住所、電話番号など、必要事項を記入した。


 用紙を渡して少しするとカードができ、会計を済ませてDVDを受け取り、奈津美は店を出た。

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