続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「そうなんだけどさー。俺、エロいから伸びんの早いんだよなー」
「エっ……!? 何言い出すのよ! そんなの関係ないでしょ!」
奈津美は真っ赤になりながらぺチンと軽く音が鳴る程度に旬の額を叩いた。
「てっ……関係あるって。何かできいたことあるし。気持ちイイーって快感がそういうホルモン刺激して伸びんのはやくなるんだって」
旬は口を尖らせて、真剣な顔で解説する。
「もうっ! そんなの言わなくていい!」
「……ホントのことなのにー」
旬は不服そうだった。
「でも、どうするの? 染めるの?」
髪が伸びる速度云々のことは置いといて、奈津美は聞いた。
「染めたいけどー。金がないんだよなあ」
ため息をつき、奈津美の太股に顔を伏せながら旬は答える。
「……そういえば旬って、いつもお店でやってもらってるの?」
ふと思いついて奈津美は尋ねた。
いつも、旬はこまめに染めに行っているようで、見た目に大した変化がないように思うが、それは旬が自分でやっているという印象がない。
旬が自分の部屋でやってるとしたら、奈津美が掃除した時にでもその形跡が残っていそうなものだが、今までは一度も見たことがない。
「そうだよー。いっつも前髪とか切るついでにやって貰うから。そういや前髪も伸びたなー」
旬は仰向けになり、今度は前髪をつまんで見せた。
「えっ……旬って、前髪もお店で切ってるの?」
奈津美は目を丸くした。
初めて知った。
奈津美でさえ、前髪くらいなら自分で切る。
旬の性格だと、前髪くらい自分で適当に切っていそうなのに、わざわざ美容院にまで行ってるとは思わなかった。