続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「とにかく、買い物に行ってくるから。別に買うものはない?」

 財布を鞄に入れ、買い物へ行く支度をし、台所に向かう。


「うん。ないよー」


「そう」


 冷蔵庫を開けて見て、奈津美は必要なものを確認する。


「……じゃあ行ってくるね」


 確認をした奈津美は、旬に声をかける。


「うん。行ってらっしゃーい」

 旬に見送られて、奈津美は買い物に出かけていった。



 この時にはもう『見られている』ということには、気付いていなかった。





「ただいまー」


 買い物袋を提げ、奈津美はコーポに帰ってきた。


「あ、ナツ。おかえりー」

 旬がすぐに反応して、部屋から玄関に顔を覗かせる。


「ナツさぁ、携帯忘れて行っただろー」


 パンプスを脱いで部屋に上がる奈津美に対し、旬が言った。


「あ、うん。鞄に入れ忘れてたみたい」

 奈津美はそう返しながら、部屋に向かった。


 携帯を忘れたのに気付いたのは、買い物に行って会計をしようと鞄から財布を出そうとした時だった。

 常に携帯のチェックをする習慣のない奈津美は、ずっと鳴ってないだけだと思って持っているつもりでいたのだ。


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