続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「……いってぇ〜」

 流石に夢から覚醒し、旬は眉間に皺を寄せながら細く目を開けた。


 少し強く叩き過ぎた。旬の背中が、奈津美の手の形にうっすら赤くなっている。


「……あれ? ナツ、いつの間に服着たの?」


 枕から顔を上げ、寝起きのぼーっとした顔で旬は奈津美を見ている。


「何言って……あー! 旬! また涎たらした!」


 旬の顔を見て、奈津美は悲鳴を上げてしまった。

 旬の口の端から奈津美の枕に、旬の涎が糸を引いていた。


「んあ……おおっ」

 旬は言われて初めて気付いて、ズルッと涎を啜った。


「やだもう、汚い!」

 奈津美は枕をひったくるように取ると、そのカバーを外した。


 カバーには、ベッタリと旬の涎のシミができている。


「やー。夢ん中が気持ちよすぎてさあ。すっぽんぽんのナツが俺の――をにぎにぎするもんだから」

 まだ眠そうに、体を起こして顔をこすりながら旬が言った。


 包み隠さない発言に、奈津美の顔が耳の方まで真っ赤になる、


「あっ、朝っぱらから何言うのよ! 大体、そんな理由でそれを許すわけないでしょ!」


「そんなん気にする仲じゃないじゃん。俺はナツが涎たらしてても全然平気だよ」


「あたしは平気じゃないの! ていうか、私は涎なんかたらしません!」


「えぇ〜」

 旬は不服そうに口を尖らせた。


「えーじゃなくて……あっ、ゴミ捨て! あたし、ゴミ捨てに行ってくるから、旬、ちゃんと起きててよ」


「はーい」


 旬の声を背中で聞いて、奈津美は部屋を出て行った。


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