続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
ゴミステーションは、コーポの隣にあるので、三分もしないうちに奈津美は部屋に戻ってきた。
「あっ! 旬! 何やってんのよ!」
そこには、パンツ一丁でローテーブルの前にしゃがみこみ、朝食にと置いていたジャムサンドをかじる旬がいた。
「いやー。美味そうだっかから、つい。でも一個だけだし」
殆ど悪びれる様子もなく、旬はもぐもぐと口を動かす。
「もう。ついじゃないわよ。早く服着て」
「ふあーい」
サンドイッチを口に放り込み、指に付いたジャムを舐めた。
その指がべたついてようで、旬はティッシュで指を拭い、それをゴミ箱に捨てた。
「あ」
その光景を見て、奈津美は思い出したように声を出した。
「どしたの?」
旬はきょとんとして奈津美を見る。
奈津美はゴミ箱を覗いた。
「あ、やっぱり……ここのゴミ捨てるの忘れてた」
今日は、バタバタとゴミをまとめていたためにうっかり忘れてしまったようだ。
ゴミ箱の中には、半分ぐらいゴミが入っていた。
「ああ、昨日と一昨日頑張っちゃたもんなぁ。それで増えたんかな」
旬がしみじみと言う。
ちなみに、このゴミ箱は、ベッドサイドに旬が置いたものである。
「そっ……そういうわけじゃないでしょ!」
旬が言うことの意味を悟り、奈津美は真っ赤になる。
「もうっ。捨ててくる。今なら間に合うだろうし」
奈津美はゴミ箱にかけてあった袋を取り、立ち上がった。
「行くの? 別に今度でもいいじゃん」
「いいの。行ってくる。旬、ちゃんと服着ててよね」
そう強めに言って、奈津美は部屋を出て行った。
もう。旬ってば何でいつも朝っぱらからあんなこと言えるのよ。
階段を降りながら、奈津美は機嫌を損ねていた。
しかし、旬が具体的な物言いをしなくても、すぐに分かってしまうようになった自分が恥ずかしい。
確かに、奈津美はもう二十三だし、色々経験はある。
だから、逆に知らないふりなんてしたって白々しいけれど。