続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
『コメット・トラックス』とは、所謂室内コースターで、並ぶ列は建物の中に進んでいく。
加奈の情報のおかげか、すんなりと進んで、三十分ほどの待ち時間で順番が回ってきた。
そして、丁度涼介と加奈が一番前で、奈津美と旬はその後ろだった。
加奈は『やった! 一番前だ』と喜んでいる。
「安全バーをしっかり下まで下げてくださーい」
係員がそう声をかけて、一列ずつ確認していく。
「あー! ドキドキするー!」
そう言いながらも旬は笑っている。ドキドキというより、わくわくと言う方が、旬の今の気持ちに合っているだろう。
「旬、こういうの好きだったのね」
奈津美はそう声をかけた。
「うん! でも超久しぶりだから楽しみ!」
満面の笑みで旬は答える。
「そっか。あたしも久しぶりだな。高校の時以来かな?」
「へー。あ、ナツ。今更だけど、ナツは高所恐怖症とかじゃない? こういうの大丈夫?」
本当に今更なことを、旬が言い出した。
それにしても、今、旬の言葉に何かひっかかりを感じたような……
「別に平気よ。苦手だったらこんなとこ来てもいいなんて言わないわよ」
ひっかかったことは気にしないことにして、奈津美はそう答えた。
そうだ。
もし高所恐怖症で絶叫系が苦手だったとしたら、こういう絶叫系がメインの遊園地に来たいだなんて思うわけがないだろう。