続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「でもさ。何でさっき、私がその人のこと聞かれたの?」


 結局分からないのはそれである。


 今初めて知ったAV女優について、どうしていきなり聞かれたのか。しかも、女である奈津美にだ。


「さあ……あ、でも……」

 カオルは奈津美のことをじっと見つめる。


「何?」


「……なんかさぁ。奈津美、その夢咲まいみに似てる気がする」


「はあっ?」

 カオルの発言に、奈津美は思わず素っ頓狂な声を出してしまった。


「ちょっと待って」

 カオルが携帯を取り出し、操作をし始める。


「何それ。全然嬉しくないんだけど」


 AV女優に似てると言われて、心から嬉しいと嬉しいと思える女なんているのだろうか。


 確かに、ルックスとしては、褒められているのかもしれないが、それが嬉しいのかどうかというのは別の話だ。


「あ、出た。夢咲まいみ」


 カオルが携帯の画面を見ながら言った。

 どうやら、検索にでもかけていたらしい。


「……あー。似てるっちゃあ似てるのかなぁ」

 携帯画面と奈津美を見比べながらカオルが言う。


「でも、今の髪型が似てるからかも。雰囲気が何となく似てるかなーって感じ」

 そういいながら、奈津美に携帯を差し出した。


 奈津美はそれを受け取って画面を見る。


 その画面は、DVDのパッケージが映っていて、その夢咲まいみが水着姿で映っていた。


「……似てる?」

 初めて見る夢咲まいみに、奈津美は首を傾げる。


 似てるのか?


 客観的に見たら、可愛いというか、セクシーというか流石だな、という容姿だが……それと自分が似てるとは、何とも言い難い。


「だから、その髪型はなんとなく今のに似てるかもってぐらい。あと、輪郭とか、角度的に似て見えるかなって。簡単に言えば、雰囲気?」


「雰囲気が似てるっていうの?」


 奈津美は複雑な表情を浮かべてカオルに携帯を返す。


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