続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「うーん。だから、似てるって言われればそうかなーって感じ」
カオルは携帯を受け取ると、再び操作をしている。
「似てるって言ったのカオルでしょ」
「それはそうだけど……って、あ、大丈夫よ」
カオルは携帯の画面を見ながら言う。
「この人、上から84・59・85だって。奈津美の方が十分いい体してるって」
プロフィールでも見たらしく、カオルはそんなことを報告してくれる。
「……別に嬉しくないんだけど。張り合ってるわけじゃないし」
そんなことで勝ったって、何の自慢にもならない。
「そりゃそうよねー」
全くの他人事のように言いながら、カオルはカチカチとボタンを押している。
「ていうか、引退してるって。夢咲まいみ。『熱狂的なファンが多く惜しまれながらも、一昨年AV業界を引退し、現在の活動については公になっていない。一部では、元・同業界人と結婚したという噂もある』ってさ」
「ふーん」
最早奈津美にはどうでもよくなってきている。
「それより、なんでさっきあたしがその人のことを聞かれたの?」
脱線したが、元々はその話がきっかけだ。
どうして、さっきの二人は奈津美にそのことを聞いてきたのか。
「さあ……あれじゃない? 奈津美が夢咲まいみに似てるなーって思ったから、血縁関係でもあると思われたんじゃない?」
カオルの言う通りかもしれない。だからいきなり姉がいるかどうかなんてきかれたのか。
「……じゃあ、あたし、今までそんな風に見られてたってこと?」
そうだとしたら、全くいい気分のものではない。
男性にとっては魅力的であるこの体型のせいで、今まで散々嫌な思いをしてきたのに、更にそんな風に見られたら、一体どうしたらいいというのか。
「それはないでしょ。今まで何も言ってきたことなんてないんだし。今日奈津美の髪型変わってるのを見てそう思ったんでしょ。あたしだって、別に前までの奈津美見てても特に何も思わなかったし」
「ホントに?」
「うん」
そう言われても、ほっとしたような、そうでもないような、複雑な心地だった。