続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「うーん。だから、似てるって言われればそうかなーって感じ」

 カオルは携帯を受け取ると、再び操作をしている。


「似てるって言ったのカオルでしょ」


「それはそうだけど……って、あ、大丈夫よ」

 カオルは携帯の画面を見ながら言う。


「この人、上から84・59・85だって。奈津美の方が十分いい体してるって」

 プロフィールでも見たらしく、カオルはそんなことを報告してくれる。


「……別に嬉しくないんだけど。張り合ってるわけじゃないし」

 そんなことで勝ったって、何の自慢にもならない。


「そりゃそうよねー」

 全くの他人事のように言いながら、カオルはカチカチとボタンを押している。


「ていうか、引退してるって。夢咲まいみ。『熱狂的なファンが多く惜しまれながらも、一昨年AV業界を引退し、現在の活動については公になっていない。一部では、元・同業界人と結婚したという噂もある』ってさ」


「ふーん」

 最早奈津美にはどうでもよくなってきている。


「それより、なんでさっきあたしがその人のことを聞かれたの?」


 脱線したが、元々はその話がきっかけだ。


 どうして、さっきの二人は奈津美にそのことを聞いてきたのか。


「さあ……あれじゃない? 奈津美が夢咲まいみに似てるなーって思ったから、血縁関係でもあると思われたんじゃない?」


 カオルの言う通りかもしれない。だからいきなり姉がいるかどうかなんてきかれたのか。


「……じゃあ、あたし、今までそんな風に見られてたってこと?」


 そうだとしたら、全くいい気分のものではない。


 男性にとっては魅力的であるこの体型のせいで、今まで散々嫌な思いをしてきたのに、更にそんな風に見られたら、一体どうしたらいいというのか。


「それはないでしょ。今まで何も言ってきたことなんてないんだし。今日奈津美の髪型変わってるのを見てそう思ったんでしょ。あたしだって、別に前までの奈津美見てても特に何も思わなかったし」


「ホントに?」


「うん」


 そう言われても、ほっとしたような、そうでもないような、複雑な心地だった。


< 283 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop