続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「あーあ。これなら髪切るんじゃなかったかも」
ため息混じりに奈津美は言った。
「何でよ。似合ってるのに」
「似合ってたって、こんな風に言われるんだったら嬉しくない」
「旬君にだってべた褒めされたんでしょ?」
「……べた褒めっていうか、まあ、似合ってるって言ってくれたけど」
「ならいいじゃない。旬君はそんな目で奈津美のこと見てないだろうし」
「そうだけど……あ」
話の途中だが、背中の方に置いていた鞄から、携帯の振動が伝わってきた。
奈津美は鞄の中から携帯を取り出した。
「なーに? 噂をすれば旬君からのメール?」
カオルがニンマリと笑いながら奈津美を見ている。
「ちっ違うわよ!」
「違うの? いつもこの時間にメールがくるのって、旬君からじゃないの?」
確かに、いつもではないが旬は奈津美の仕事中には時間を見計らって、メールが来る。
だから、奈津美も旬からだと思って携帯を取り出した。
「……旬からだとは限らないし」
何でもないように装いながら、きっとこの時間にメールしてくるのは旬からだろうと思いながら、奈津美は携帯を開いた。
しかし、待ちうけ画面に表示されたアイコンを見て、奈津美は目を丸くする。
メール受信のアイコンに5という数字が表示されている。
朝から今までの間に五通のメールがきていたらしい。
ここ暫くそんなことなんてなかったのに……と、不思議に思いながら奈津美は受信メールを確認した。
受信メール一覧は、奇妙なことになっていた。
登録していないアドレスがいくつも並んでいる。
朝から来ていたメール全てがそのアドレスからだった。
そしてそれは、昨日来た送り主不明のメールのアドレスとも、同じだった。
昨日のメールも、削除し忘れていたから分かったが……また来たのだ。
とりあえず、奈津美は古いものから内容を確認してみた。
朝の七時半前のメール。
『おはよう。今日はゴミの日なんだね』
理由が分かる前に、背筋に寒気が走った。