続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

 それで改めて見てみると、そうだった。


 昨日の『窓開けたまま出かけてるよ』というメールは、奈津美が買い物に出かけてすぐのことだし、その後の二通は、奈津美が買い物をしている間だ。

 タイミング的にはちょうどピッタリくる。


 そして、今朝『ゴミの日なんだね』というメールは、細かい時間までははっきりしないが、確かに奈津美が一度ゴミを出した頃の時間だ。

 その後も、奈津美が家を出た時間、出社した時間ぴったりにメールがきていた。

 これらは全て、ただの偶然といえるものなのだろうか……


「奈津美……変な男にでもつきまとわれてるんじゃない?」

 カオルが親権な顔で言った。


「え……これって、男?」

 何故か出てきた言葉は、そんなことだった。


「男だとは限らないけど……要は変な奴に私生活覗かれてるんじゃないかってことよ。平たくいうと、ストーカー」


「ストー……」

 奈津美の言葉が詰まってしまう。


 普段、自分には関係ないと思っていて、あまりにリアリティーのないワードに、思考が追いついていかない。


「……て、え? あたしに? そんないきなり? そんなストーカーされる心当たりないし」


「あのねえ、予告あってのストーカーなんてあるわけないでしょ。それに、相手が分からないからこそストーカーって言うんだし」

 間抜けな奈津美の発言にカオルは呆れている。


「あ……そっか」


 カオルがため息をついて言葉を続ける。


「まあ、メールが来るってことは、奈津美の連絡先知ってる人ってことなのか……どこかからそういう情報が漏れて知った人なのか……どっちにしても、ストーカーするんだから、奈津美の行動範囲のどこかしらにいる人よね」

 カオルは落ち着いた様子で推測をしている。


 奈津美の方は、やっぱり現実味がなくて、当事者だというのにそんな考えは浮かばない。

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