続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「……でも、本当にストーカーだとして、何がしたいの? こんなメール送ってきたって、明らかに怪しいんだから相手にされるはずないのに」
最もなことを、奈津美は疑問として口にした。
「そういう感覚がないからストーカーなんでしょ。真っ当な考えがあるんならしないって。困ってるとこが見たいとか、変わった趣向でもあるもんじゃない?」
「やだ。何それ……」
奈津美は眉を顰めた。
そんな異常な趣向の人間に見られてるのかと思うと、鳥肌が立つ。
「……でもまあ、まだメールぐらいしか被害ないんでしょ? それならまだストーカーじゃない可能性もあるし」
あまりにも脅し過ぎたと思ったのか、カオルは明るく言った。
「うん…………あ」
ふと、奈津美の頭に朝のことがよぎった。
その瞬間、血の気が引いた気がする。
「奈津美? どうしたの? 顔色悪いよ?」
奈津美はおもむろに顔を上げた。
「ねえ、カオル。ストーカーって、ゴミまで持ってったりするかな」
今朝、無くなっていた奈津美の家のゴミ。あれがもし誰かに持っていかれたのだとしたら……
『今日、ゴミの日なんだね』
このメールの送り主と同一であるという可能性がある。
「持っていかれたの?」
カオルが眉をひそめる。
「……多分。今朝、一度ゴミ出しに行って、まとめ忘れたのを捨てに行った時には無かったの」
それを言うと、お互いに黙ってしまう。先に口を開いたのはカオルだった。
「それ、ストーカーだとしたらかなり深刻よ?」
カオルはより真剣な顔をしている。
「……どうしよう。あたし、ストーカーなんてされたことないし」
カオル表情を見て、奈津美の不安は掻き立てられる。
こんな時の対処方なんて、ぱっと思い浮かばない。