続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
オフィスに続く廊下を歩きながら、奈津美は話の続きをする。
「不安って?」
「ストーカーが誰なのか分からないままで、どこからあたしの番号とアドレスが知られたのかも心当たりないから……また知られるかもしれないし……」
「知り合いの可能性は高いの?」
「多分低いけど……ないわけじゃないから。……少なくとも、会社の人ではないんじゃないかとは思う。メールの内容だと、あたしがここで働いてるっていうのは知らないみたいだし、あたしの仕事中のことは送ってこないから」
見当がつかず、考えだした結果がそれだ。
元々、奈津美のメールアドレスなどを知っている男性社員は、同じ部署の人間で同期の数人しかいない。
そもそも全く知らないアドレスから来ているのだから、そのためにわざわざアドレスを作ったなど、特殊なことがない限り、可能性としてはかなり低い。
「なるほどね……でも、そうなると、ストーカーは、奈津美が全く知らない赤の他人って可能性が高いんじゃないの?」
「うん……だけどそうなると本当に誰か分からないし……大体、何であたしに付きまとうのか……全然知らないのに」
「知らないから、知ろうとして付きまとうんでしょ。しかも、知らないから勝手に色々想像して偶像化して……って」
カオルがふと何か思いついたように表情を変える。
「そういえばさ、そのストーカーって旬君の存在知ってるの?」
そのカオルの質問に、奈津美は一瞬固まって、それから考える。
「……多分、知らない……んじゃないかな。そんな内容のメールは一回もきたことないし……ていうか、メールがくるようになってから一度も旬と外歩いてないし」
「でもゴミ持ってかれたんじゃないの? その中に男がいるって形跡の残るものはなかったの?」
「……分かんないけど……思い浮かぶ限りでは、なかったと思う」