続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
奈津美は、仕事が延びていつもより遅い時間に帰宅した。
そして、翌日のデートの時間を決めるために旬に電話をかけた。
いつも通り、コール音が一回なるかどうかで旬が出た。
「もしもし、ナツ?」
相変わらずのウキウキした声だ。遅くなるから後で電話するとメールしておいたので、今か今かと待っていたのだろう。
「うん。ごめんね、遅くなって……今、大丈夫? 何してた?」
奈津美が電話をした時のいつもの決まり文句を旬に言う。
「大丈夫! 全然ヨユー! 丁度風呂から出たとこだから」
「そう。……明日、何時にする?」
元気のいい旬の返事に特に何も思わずに、奈津美は本題に触れた。
「んー……じゃあ十時にナツんちに迎えにいく!」
「分かった。十時ね。あんまり早く来ないでよ。こっちは十時に合わせて支度するんだから」
旬はデートの時間を決めても『ナツに早く会いたいから』と言って気持ちだけ先走って時間よりかなり早く来る。
待ち合わせの時はともかく、迎えに行くという時も、早く来るものだから、まだ準備ができる前に来られたりして、それはかなり困るのだ。
「分かってるって~。そういやさぁ――」
旬が喋りだし、それから暫くは電話で雑談をしていた。
そして、三十分ほど話した頃……
「……ぶぇっぷし!」
旬がいきなり派手なくしゃみをしだした。
その大音量に、奈津美は思わず耳から携帯を遠ざけた。
「旬? どうしたの、いきなり……風邪?」
携帯を耳に戻し、奈津美は尋ねた。
「いやー? んなことは……あ」
洟を啜りながら答える旬の言葉は、まるで何かを見つけたように呟いて止まった。
「俺、マッパ(真っ裸)のままだった」
「えっ……まさかお風呂出たままなの?」
「うん。服着んの忘れてた」
ハハハッ……と旬は暢気に笑っている。
丁度風呂から出た、というのは、本当に電話がかかってきて丁度だったらしく、旬は服を着るのも忘れてあんなに話し込んでいたというのだ。