続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

 明らかに不審な郵便物だ。

 誰かが直接郵便受けに入れたのだろうか。


 きちんとした封はしていなかったので、奈津美は折ってあるだけの封を開けて、封筒を逆さにした。


 中身は、重さによって全て奈津美の手の上に出てきた。


「何……これ」

 出てきたものを見て、奈津美は目を丸くした。


 封筒の中には、大量の写真が入っていた。

 それも、全て奈津美が写っていた。


 奈津美がこのコーポから出てくる姿や、そこからどこかへ歩き出す後姿。

 その反対に、どこからか帰ってくる姿。

 それに、会社に入っていく奈津美の姿もあった。

 奈津美の覚えのない、隠し撮りであろうという、そんな写真ばっかりが入っている。


 奈津美は、背筋が凍る思いをしながら、写真を更に見ていった。

 最後の方には、奈津美の部屋の前の風景が写っているものがあった。

 しかも、旬と一緒に写っていた。


 同じアングルで旬と抱き合っているところや、キスをしているところも撮られている。


 これは、この間旬と会った日だ。

 奈津美が携帯を変えて、その日以来メールも電話もなくなった日……


 こんなところまで見られて、撮られていた。

 羞恥で顔が熱くなるのが分かった。


 奈津美は最後の写真を見た。その瞬間、奈津美は写真を取り落とした。


「嫌っ……」


 最後の写真は、奈津美ではなく、男性の裸の下半身が写っていた。

 それも、興奮状態にある時の男性シンボルを、存在を主張するかのように写真の真ん中にピントを合わせているものだった。


 正気じゃない。


 ストーカーをしてるという時点で分かっていたことだが、それを改めて痛感させられた。


 隠し撮りだけではなく、こんな写真を送りつけてくるなんて、まともな精神をした奴なんかじゃない。


 怖い……


 今まで気味が悪い程度に感じていたが、急にストーカーの存在に恐怖を感じた。


< 315 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop