続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
後悔
奈津美は、椅子に座って下を向いていた。
警察署の廊下にある、長椅子だ。
公園に現れたのは、丁度巡回中だった警察官だった。
あの状況で、不利だったのは旬だった。
警官は旬と男を引き剥がすと、奈津美の方に気付いた。
奈津美のあられもない姿を隠すように、旬が『見るな』と叫んで奈津美のことを抱き締めていたのは覚えてる。
その後のことは、はっきりとは覚えていない。
多分、旬がとても興奮した状態で男のことをストーカーだと言った。
それで、事情聴取のために最寄の警察署まで連れてこられた。
奈津美の聴取は、一番早く終わったようだった。
正確にいえば、奈津美からはっきりと言える状況ではなかったので、警察官から聞かれることに頷いたりして答えていただけだった気がする。
これも、あまり記憶がなかった。
そして今は、旬を待っている。
さっき、男のことについて警察が話してくれた。
男は、自分のしたことを素直に認め、全て話したと言う。
あの男は、レンタルビデオ店でアルバイトをしているフリーターだった。
奈津美が行く、あのレンタルビデオ店だ。
奈津美のことを知ったのは、奈津美がDVDを借りに行ったあの日だった。
男は、やはり元AV女優の夢咲まいみの熱狂的なファンで、彼女に似ている奈津美に一目ぼれしたのだという。
奈津美の携帯番号やメールアドレスは、会員カードを作り直すと言って書かされた用紙で知ったのだが、本来、カードを作り直すのには書く必要がなかったのを、奈津美の個人情報を知るためにわざと書かせたらしい。