続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「いやっ……」

 思わず大きな声を上げた。


 旬は驚いて目を丸くしていた。それを見て、奈津美は我に返った。


「あ……違うのっ……何でもないのっ」

 奈津美は必死にそう言った。


 他に言い訳すらも思い浮かばず、奈津美は自分でもこの反応をしてしまったことに驚いていた。


 旬は、いやらしいつもりで触ったわけではない。

 そもそも、触ろうとして触ったわけでもない。いつもなら、気にもしない。


 だけど……ダブってしまった。昨夜の、ストーカーに触られた時の感触と……


 旬の手なのに。

 一番大好きな、安心できる手なのに……奈津美にはそれが一番ショックだった。


「ナツ……大丈夫? やっぱり今日は仕事休んだ方がよくない?」

 旬は奈津美の顔色を見て心配して言った。


「ううんっ。大丈夫。本当に、大丈夫だから」

 奈津美は首を大きく振り、自分自身にも言い聞かせるように言った。


「早くご飯食べないと……ね」

 奈津美はそう言って、その場から逃げるように台所に向かった。


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