続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「じゃあ、ナツ。夜連絡するから」


「うん……ありがとう。バイト、頑張ってね」


「うん。じゃあな」

 旬は優しく微笑んで、手を振って奈津美達と別れた。


「……ねえ、何かあったの?」

 旬の背中が見えなくなるところまで行った時、カオルが言った。


「……うん」

 奈津美は曖昧に頷いて、会社のエントランスに向かう。

 カオルも奈津美に合わせて歩き出した。


「喧嘩……ってわけでもないわよね。そんなに険悪ではなかったし」


「うん……実は……昨夜ね」

 そこまで言って、言葉に詰まる。昨夜のことが頭の中に蘇っている。


「奈津美?」

 カオルが心配そうに奈津美の顔を覗きこんだ。


 奈津美は、大きく深呼吸をして気持ちを落ち着ける。


「……昨夜、ストーカーに襲われそうになったの」

 丁度会社の中に入ったところで奈津美は言った。


「えっ!?」

 カオルの目が大きく見開かれた。


「ちょっ……本当に?」


「うん……ねえ、階段から行っていい?」

 奈津美は正面にあるエレベーターでなく、脇のほうにある非常階段のマークがある方を見て言った。


「あ、うん。いいよ」

 二人は、階段から、オフィスと更衣室のある三階に向かった。


 朝っぱらから階段を使う社員はほとんどおらず、静かな中、二人のパンプスのヒールが鳴る音が響く。


 そこで、奈津美は昨夜のことを、ところどころをかいつまんでカオルに話した。


 カオルは、最初は驚いて何かを言おうとしていたが、何も言えなかったのだろう。

 黙って最後まで聞いていた。


 二人は更衣室まで辿りつき、各々のロッカーの前に立つ。


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