続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「……カオルの言うとおりだったよね。あたし、旬にちゃんと言うべきだった。そしたら、こんなことにならなかったかもしれないのに……」
奈津美はまた後悔の念に苛まれる。
カオルは何度も、奈津美が旬に言わないのかと、気にしてくれていた。
何度も、言った方がいいのではないかと聞いてくれていた。
それなのに、奈津美の一方的な気持ちだけで、何も言わないまま、昨夜のようなことになってしまった。
自分の思っていた以上に、旬を傷つける形に……
奈津美の目からは、涙が流れた。何だか、涙腺が弱くなっているようだ。
「何言ってんのよ! そんなの言えなくなってしょうがないし! そりゃあ、言った方がいいって言ったのは私だけど……でも、奈津美だって色々悩んでたんでしょ?」
カオルが奈津美のことを庇護するように言ってくれる。
奈津美は自分が不甲斐なくて、下を向いた。
「……とにかく、大きな被害にならなくてよかったわよ。犯人も捕まったし……解決してよかった」
カオルが安心したように息をついて、奈津美の頭を撫でてくれた。
カオルも、旬と同じだ。
こんなに自分のことしか考えていなかったのに、心配して、安心してくれている。
「ほら、奈津美。泣いてると化粧崩れるわよ!」
カオルが力強く言って奈津美の背中を叩く。
「今日一日……ていうか、気持ちがちゃんと落ち着くまで、無理しちゃダメよ? 今日だって早退したっていいんだからね。私は旬君に奈津美を任されてるんだから、無茶はさせないからね」
「うん……ありがとう」
カオルがいてよかった。
もしカオルがいなかったら、きっとこんな日に、いつものように外に出ようと思わなかった。
たとえ出てきたとしても、不安でしょうがなかったに違いない。
そして、そのまま外に出ることが出来なくなっていたかもしれない。
旬の存在と同様に、カオルの存在も大きかった。改めてそのことに気付かされた。