続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「とりあえず、着替えよっか」
「うん」
二人は自分のロッカーを開けて、制服に着替えようとした。
奈津美は鞄を置こうとしたら、携帯のバイブの振動が手に伝わってきた。
鞄から携帯を取り出すと、メールを受信していた。
受信ボックスを開くと、旬からだった。
『今部屋着いた!別に何もなってなかったよ。
つーか、盗まれるものねえし(笑)
とりあえず、今からちょっと寝るよ。
ナツ、仕事頑張って!無理はすんなよ!』
そのメールを見て、奈津美は少し安心した。
『よかった。
会社まで送ってくれてありがとう。
ゆっくり休んでね。
旬もバイト頑張って!』
そう手早く打って送信し、携帯を閉じた。
携帯の表面に傷ができている。
昨夜、落としてしまったせいだ。まだ新しいのに……
旬とお揃いの大事な携帯なのに、それを見ると少し悲しくなった。
その日は、何の問題もなく過ぎた。
仕事をしていると、気が紛れて余計なことを考えずにすんだ。
今日は運よく、あまり周りと接するような仕事は回って来ず、一日ずっとパソコンに向かってデータ入力や、会議の資料作りだったので、それに集中していたら、なんとか乗り切れた感じだ。
「奈津美。今日、仕事終わったあと予定ある? 無かったらご飯行かない?」
昼休みにカオルがそう誘ってくれた。
ミックスサンドを食べながら、奈津美は悩んだ。
「……今日は、やめとく。ちょっと、体休めたいし」
あまり積極的な気持ちになれず、奈津美はそう断った。さすがにまだそんな気力は持てなかった。
「そっか。じゃあまた今度にしよっか」
カオルもそれは察していたようで、すぐに引いてくれた。
それでも奈津美が殻に籠もらないようにするためか、次を約束するようなことを言った。
「うん……また今度、週末にでもゆっくり行こうね」
奈津美もカオルの気持ちに答えるために、そしてそれ以上に奈津美自身の気持ちを浮上させるためにそう返した。
「うん」
カオルはホッとした表情で頷いた。