続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
その日は、定時で仕事を終えると真っ直ぐ家に帰った。
カオルが送ろうかと言ってくれたが、断った。
同じ女であるカオルに送ってもらうなんて、気が引けたし、もしもカオルにも危険なことがあったら、それこそ取り返しがつかない。
勿論、奈津美自身も不安はあったが、それに周りを巻き込みたくはなかった。
人通りが多いうちにさっさと帰ってきたので、今日は何事もなくコーポまで帰ってくることができた。
それに奈津美はほっとしていた。
しかし、コーポのエントランスを通る時、奈津美の体は強張った。
昨夜のことが頭に思い浮かぶ。……そうだ、郵便受けの中をみないといけない。
ほんの数歩動くだけのことなのに、ためらった。
今朝は旬が一緒だったからあまり意識していなかった。
だが、今は、丁度昨夜と同じような状況だ。
……今日は、見なくていいや。大したものなんて来てないだろうし。
そう思って、奈津美は郵便受けの前を通り過ぎて部屋へと向かった。
部屋に着いたら着いたで、不安になってしまった。
一人きりの空間は、寂しすぎる。
奈津美はリビングの座布団の上にへたり込んだ。
部屋の時計を見る。五時四十五分になるところだ。
……旬は、何してるのかな。
やっぱり、こういう時に一番に思い浮かぶのは旬のことだ。
奈津美は鞄から携帯を取り出し、リダイヤルで旬の番号を表示した。
電話して、出るだろうか。
夜は居酒屋のバイトだと言っていたけれど、もう行った頃なのだろうか。
それとも、まだカフェのバイト中だろうか。