続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「本当に飛べるの?」


「うん。今日はたまたま飛ばなかったけどな。次からはベランダから現れよっか」

 旬は楽しそうに言う。


「ふうん? ……じゃあ今度飛んできてね」


「じゃ、ナツが会いたいって言ってな。『旬が居ないと体が火照っておさまらないの』って。そしたら一瞬で飛んでこれるよ」


「やだ。そんなの言うわけないでしょ!」

 奈津美は旬の肩を軽く叩いた。


 旬は、ヘラッと笑った。それにつられて、奈津美も顔が綻ぶ。


 よかった。私、ちゃんと笑えてるよね?


「旬、ご飯食べた? お腹減ってない?」


「バイト前に軽く食ったけど、腹減ったー」


「じゃあ、ご飯用意するね」


「うん。ありがと。……あ、俺、これ貰ってきたんだ」

 旬は思い出したように持っていた袋を上に掲げた。


「唐揚げ。まだ温かいから、一緒に食べ……あ、でも、ナツもう食べたよな」


「ううん。ご飯は食べたけど、でも貰おうかな。ありがとう、旬」


 旬から唐揚げを受け取って奈津美は台所に入った。




「ごめんね。ありあわせで作ったやつで、残り物だけど……」

 ローテーブルに旬の食事を置いて、奈津美は再び台所に戻った。


「ううん。……でもなんか、たくさん作ったんだな。残り物のわりに多くない?」
 並んだ食事を見て、旬は言った。


 確かに、普段奈津美が残り物、という時に出す量に比べて、今日は十分一人分としてしっかり食べれるほどの量があった。


「……うん。冷蔵庫の中に残り物あるの忘れてて、作っちゃったから。無理だったら残してもいいからね」


 食欲がなくて食べられなかったとは言いづらくて、奈津美はそう言った。またここで旬に偽りを言ってしまった。


「ううん。俺は腹減ってるから大丈夫だよ。丁度いいくらい」


「そう……。ねえ、旬。ビール飲まない?」

 奈津美は冷蔵庫から缶ビールを一つ出し、リビングに顔を覗かせて尋ねる。


「え? 今から飲むの?」

 旬は目を丸くしている。


「うん。ちょっと飲みたいの。半分こしよう?」


「うん……いいよ」


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