続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「……生姜じゃない?」
奈津美も口の中の唐揚げを味わってみて、奈津美は言った。
「あー。生姜か! 確かにそんな味する!」
納得したように頷いて、旬はもう一つ唐揚げを摘んで口に放り込んだ。
「塩とかつけるのは中華のじゃない? 和風の居酒屋だったらこんな風に生姜きいてるお店もあるよ。私も実家がそうしてたから生姜使ってるけど……気付かなかった?」
「えー? マジで? 全っ然気付いてなかった。普通に美味いなーって思ってたけど」
「私はちょっとしか使ってないけどね。これはしっかりきいてる。だからすごい進んじゃう」
その言葉の通り、奈津美はもう一つ唐揚げに箸を伸ばしていた。
本当にうまく作っているな、と奈津美は思った。
ちゃんと居酒屋で出すものだから、色や酒が進みやすい味になっている。
奈津美も、食欲なんてなかったはずなのに、しっかりと食べている。
今日一日を通して、あまり食べていなかったから体が求めていたのかもしれない。
そして、今は旬がいるから、食べることができるのかもしれない。
それでも、旬が居るから食べないと、と思っている気持ちより、奈津美自身が食べたいと思って食べている気持ちが強いのには違いなかった。
「今度ナツも作ってよ。そんでちゃんと味わってみる」
「何かそれ、いつもは味わってないみたい」
「ち、違うよ! いつもは……いつも、ナツの作るご飯が美味しいから次から次へと食べてっちゃうつうか……」
必死に言い返そうとする旬がおかしくて、奈津美は思わず笑った。
「いいよ。今度作るね」
奈津美が言うと、旬は笑顔で嬉しそうに、うん、と頷いた。