続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
それから何故か、会話が途切れてしまった。
旬は食事を終えて、残ったビールを飲んでいる。
奈津美も、少しずつ飲んだビールを飲み干して、手持ち無沙汰に汗をかいたグラスを指で拭っていた。
やっぱり、今夜はいつも通りにはできない。
昨日の今日で仕方ないといえばそこまでだが、やはり、お互いにぎこちない。
特に旬が、気を遣ってくれているのが、何となく伝わってくる。
どうしようか、どう接しようか、そんなためらいがあるように感じた。
「……旬。ごめんね」
堪らなくなって奈津美は旬に言った。
「え?」
旬は目を丸くした。
「ごめんって……何が?」
「色々と……昨日のことも、今日のことも」
奈津美は膝を立てて、足を抱きかかえるように小さくなって言った。
「……昨日のことは、謝んなくてもいいって。今日のことだって、何でナツが謝ることあんの?」
旬は口元に笑みを浮かべている。
「だって……あたし、旬に自分勝手なことばっかりしてる。ストーカーのことも、旬に何も言わなかったくせに、自分が本当にやばくなった時だけ旬に助けてもらおうとして……今日だって、旬のこと何も考えてないの。私が一人で居たくなかっただけで、旬に電話して、来てもらって……」
旬は奈津美の言葉を遮った。
「何言ってんの! それのどこが自分勝手なんだよ。ナツは何でも一人で考えてやろうとし過ぎなんだよ。もっと俺を頼ってきてくれていいんだし、今だって足りないぐらいだよ!」
少し声が大きくなった。
奈津美は目を丸くする。
「……ごめん。言い方きつかったよな?」
旬は今度は小さな声で、下を向きながら言った。
「ナツが俺に頼れないのって、俺に頼りがいがないからだよな。いっつもナツに甘えて、俺のこともやってもらってるくらいだし」
「そんなことっ……」
奈津美はすぐに反論した。
「そんなことないよ! 甘えてるのはあたしの方で……今日だってそう。旬に甘えて、電話して、来てもらった。旬が頼りなかったら、旬に電話なんかしてない!」