続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
必死に伝えようと、奈津美はじっと旬を見つめた。
「あたしは、旬が側にいてくれたら、それでよかったの」
旬は目を丸くしていた。
じっと奈津美の目を見返し、少しすると、下を向いてため息をついた。
「……旬?」
そんな旬の反応に不安になって、奈津美は旬の顔を覗き込もうとした。
「……そんな可愛いこと言うなよ」
「え……?」
「こんな時なのに、我慢できなくなんじゃん」
そう言って、また深くため息をついた。
「我慢……?」
「うん。我慢。ナツのこと……襲いそうになる」
今度は奈津美の方が目を見開いた。
そう言えば、今日は、旬は奈津美に触れていない。
……いや、正確に言えば、朝、奈津美が旬の触れた手に悲鳴をあげてしまってから。奈津美の会社まで送ってくれたときに手を繋いだだけだ。
「……いいよ」
「え?」
旬は顔を上げて奈津美を見た。
奈津美の目は潤んでいる。
「いいよ。旬になら。……ていうか、しよう?」
奈津美は、そっと胡坐をかいている旬の膝に手を触れた。
「え……」
旬の声がかすれていた。
「な、ナツ……酔ってる?」
「酔ってない。あれぐらいで酔うわけないじゃない」
「……でも……いつもと違うじゃん」
「違うのは旬じゃない。いつもなら、旬が言うじゃない。私が嫌って言っても、いきなり抱きついたりするじゃない」
まるで責めるような言い方に、旬の方が黙ってしまった。