続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「旬……もしかして、嫌になった? 私のこと……」
「えっ……」
「私が……今回のこと黙ってたから? 旬の信用を失っちゃうようなことしたから? だから嫌になったの?」
旬の膝に置いた手をギュッと握りしめ、奈津美は下を向いた。
「ちがっ……何でそんな話になるんだよ!」
旬の方が目を見開いて言った。
「じゃあ何でよ……何で、抱き締めてくれないの……?」
奈津美の方から、旬に抱きついた。肩に顔を埋め、背中に腕を回した。
やっぱり、あれだけの量でも、酒が回ってしまったのだろうか。
自分でも驚いていた。
こんな風に、すがるように、旬に抱きつくなんて。
だけど、これが、今の奈津美の本当の姿だ。
みっともないくらいすがっても、旬に抱き締めてほしい。
「ナツ……」
旬は奈津美の肩に手を置いた。
やっぱり、抱き締めてはくれない。
「俺だって、ナツのこと、ぎゅって、抱き締めたいよ」
ゆるく、旬の手に力が入った。そして、そっと奈津美を体から離す。
「でも……俺の気持ち押し付けて、ナツに怖い思いさせたくないんだよ」
少し辛そうな顔をして、旬は奈津美を見た。
「……それって、今朝、私が、叫んじゃったから?」
旬の手が、奈津美の内股に当たった瞬間、ストーカーのことがよぎって悲鳴をあげてしまった。
それを、旬はどういう反応なのか、しっかりと見抜いていたようだ。
「……俺、多分、優しくできないよ」
「え……?」
呟くように言ったその旬の言葉に、奈津美は固まった。
どういう、こと?
「ナツ相手だと……最初はナツのこと思ってやってても、途中で自分の気持ちの方が勝っちゃって、無理矢理になっちゃうから……自分でも分かるんだ」
奈津美は半ばあっけにとられていた。
旬がそんなふうに思っていたなんて、知らなかった。
旬は無理矢理とはいうけれど、勿論合意の上であるし、旬は奈津美が本当に嫌がることはしないので、奈津美からしたら、無理矢理という感じはしない。
むしろ、今のままで十分優しいのに。