続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「……旬のバカ」
奈津美は小さく言った。
「旬はいっつも優しいよ。いつも……私のことを考えてくれてる」
「いや、でも……」
「こんな時だけ、そんなこといわないでよっ!」
奈津美に言い返そうとした旬の言葉を、奈津美が先に遮った。
睨んだつもりでも、目に涙が溜まっているせいで、迫力も何もない。
「不安なの……今、旬に触れてもらわないと、もう二度と触れられない気がして……」
とうとう、奈津美の目から涙が頬に伝った。
それを見られないようにするためか、下を向いたら、それが奈津美の太股に落ちた。
「そんな……俺は今はやっぱりやめておいた方がいいって思うだけで……ナツの気持ちが落ち着いたら……」
旬は焦った様子で奈津美に弁解する。
「……そうじゃない」
下を向いたまま、奈津美が首を横に振った。
「私がダメになりそうなの。……今、旬に触れてもらえなかったら、私がもう旬に触れられなくなりそうで、怖いの」
どうしてそう思うのか、奈津美にも分からなかった。
だけど、無性にそんな気がしてしょうがなかった。
今一番欲しい感触がないことが、とても不安で、とても怖い。
「ナツ……」
呼ばれたと同時に、奈津美は旬に抱き寄せられた。
「ごめん……ごめんな、そんなこと言わせて……そんな気持ちにさせて……」
背中にしっかりと手が回されて、しっかりと抱き締めてくれた。
そう。これが欲しかった。旬の、旬だけのこの感触が欲しかった。
「旬……」
奈津美も旬の背中に手を回し、力いっぱい旬を抱き締めた。