続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~


「あ、ナツ。俺、先シャワー浴びた方がいいかも」

 ベッドの上に移動してから、旬がそんなことを言い出した。


「今日、昼からずっとバイトだったし……特に居酒屋で結構汗かいてるし、ここ来るまでも走ったからもっと汗かいてるし」

 奈津美はそんなことを言う旬を見上げていた。


「……なんか、今日の旬、空気読めてない」

 キッと旬を睨むように見て、奈津美は言った。


「えっ……」

 旬は驚いたように目を見開いた。


「いつも、そんなこと気にしてる? いっつも、シャワーなんていいって言うのは旬でしょ」


「あ……いや、そうだけどさ……今もなんか、変な汗かいてて自分で臭った気がしたから、ナツはもっと嫌かなって思って……」

 旬はTシャツの首元を自分で嗅ぎながら言った。


「……いい。今日は気にしない」


「えっ……何、今日はってことは……いつもは気にしてるってこと?」


「そういう意味じゃなくて……もう。旬」


 こんな話がしたいわけじゃない。ただ、今は旬の感触がほしい。

 旬は苦笑いをして、奈津美に覆い被さった。


「絶対……できるだけ優しくするから。もし、無理だったらちゃんと言って。ちゃんと、やめるから」


「うん……」


「……あと、汗くさかったら言って」

 付け足すように、旬は言った。それに奈津美の心はほぐれる。


「うん。……耐えられなかったら言う」

 笑みを浮かべながら奈津美は答えた。


「……それもなんかなー。言われたらめちゃくちゃショック受けそう」

 苦笑いの旬の表情が、奈津美の間近にある。


 奈津美はじっと旬の目を見つめながら笑った。


「大丈夫。私、旬の匂い、結構好きだから」


「……ナツ」


 二人の唇が重なった。


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