続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

 目を閉じて、旬の唇の感触に、気持ちを集中させる。

 何度も角度を変えて、旬の舌が奈津美の口の中をまさぐっている。

 奈津美も精一杯それに応える。


 ほとんどされるがままになりながら、奈津美は手探りに旬の体に手を伸ばし、背中に腕を回した。

 旬の重みが奈津美の体にかかった。

 圧迫感はあるけれど、それだけ旬と密着できるから、必死で抱き締めた。


 旬の唇が、奈津美の唇から少しずれて、奈津美の頬に触れる。

 目を開けようとしたら、瞼に唇が触れて、また強く目を閉じた。


 こうしていると、まるで旬しか居ない世界に迷い込んだような感覚になった。


 目を開けるのが怖い。

 いっそのこと、目を開けたら旬しかいない世界になっていればいいのに。


 そうしたら、もう怖い思いはしない。旬のことだって、もっと大切にできる。


 目を開けるのが、怖い。


 ぐっと閉じる目に力を入れたら、眉間に旬の唇が触れた。


「ナツ……皺できてるよ、ここ」

 唇が離れたら、旬が指でそこを揉み解すように押した。


「そんな顔は、俺好きじゃないよ。ナツのことは、全部好きだけど。でも、そんな苦しそうなのは嫌だよ」


「え……」

 奈津美が目を開けると、そこには、悲しそうな顔をした旬がいた。


「ナツ……」

 旬の唇がまた奈津美のそれと重なる。

 さっきよりは強引で、少し息苦しい口付けだった。


 まるで、旬の心を表しているようだった。


 旬はきっと、こんな風に、苦しいに違いない。


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