続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
旬の手が奈津美のTシャツの裾に伸びた。それと同時に、旬の唇が奈津美の唇から顎、首筋の方におりていく。
「んっ」
旬の唇が触れると、奈津美は首を縮ませてしまった。
「……ナツ?」
唇を触れる場所がなくなってしまい、いつもと若干違う反応に、旬が顔を上げて奈津美を見た。
「ううん……何でもない。ちょっとくすぐったかっただけ……」
旬のことは見れずに、奈津美は首を横に振った。
本当のことなんて、言えるわけがない。
「ごめん……続けて?」
「……うん」
旬は一瞬ためらったが、奈津美に言われたので、行為をすすめようとする。
Tシャツの裾に伸びていた手が、奈津美の肌に侵入し、肌を撫でながらTシャツをまくり上げていく。
その瞬間に、奈津美の体がビクンと動いた。
……大丈夫。大丈夫だから。これは、旬の手。旬の手だから。
そう自分に言い聞かせて、奈津美はまた目を硬く閉じた。
旬は、奈津美の様子を見て、グッと拳を握り締めた。
「……ナツ。あいつに、あの男に、何された?」
「……え?」
奈津美は目を開けて、旬を見つめた。
旬の目は、怒りを含んでいるように見えた。
「ナツの体……触ったんだろ? そのまんまになんかしておけない」
旬は、奈津美の顔の横で拳を握り締めていた。
その様子が、あまりにも悔しそうで、辛そうで、自分のことでそんな顔をさせてしまっているということが、耐えられなかった。
「旬……」
奈津美の目からは、涙がこぼれた。
「くっ……首、絞められて……それで、体触られた。……上半身と……足、触られて……すごく、気持ち悪くて……怖くて……」
言いながら、ボロボロと泣いた。
昨日のことを思い出し、恐怖がよみがえってきたが、なぜかそれと同時に心が軽くなっていくのも感じた。
言葉にするのと、涙を流すのとで、体の中にくすぶっていた感情が放出されるのだろうか。