続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
終わった後も、二人はぴったりとくっついて離れなかった。
向かい合うように横向きで寝て、旬は右腕に奈津美の頭を乗せて左手を奈津美の背中に回し、奈津美は左腕を旬の背中に回して抱き合っていた。
「……旬」
奈津美は旬の肩に顔を埋めて呟くように呼んだ。
「ん?」
「……ごめんね。今日、私、わがままばっかり言って」
旬はきょとんとして奈津美を見下ろす。密着しているので、奈津美の頭しか見えない。
「わがまま? 何が?」
そう尋ねると、奈津美が顔を上げた。思った以上に顔が近かった。それでも気にはしない。
「だって、旬、バイト帰りなのに、うちに寄ってもらって……今だって、無理矢理してもらって……」
そこまで言うと、なんだが恥ずかしくなって、奈津美はまた顔を下に向けた。
そんな奈津美を見て、旬は口元に笑みを浮かべた。
「わがままじゃないよ、そんなの。そんなの、付き合ってたら当たり前のことじゃん」
そう言って、旬は奈津美を抱き締める腕に力をこめた。
「ていうか。ナツは普段からわがまま言わなさ過ぎ。もっとわがまま言って甘えたっていいんだよ」
旬は優しい声で言ってくれた。
前にも、似たようなことを言われたような気がする。
「……でも、わがままばっかり言ったら、ウザくない?」
奈津美はまた顔を上げて旬を見る。
奈津美の経験上、男っていうのはそういうものだ。こっちが遠慮していると、もっと頼れとか甘えてとか言うくせに、実際にそうすると厚かましいとかわがままだとか言う。
だからこそ、甘えられなくなってしまった。
「うーん……ナツはあんまり甘えてきたことないからなあ。どうなんだろ」
旬は眉間に皺をよせて考える。
すぐに否定しないってことは、やっぱり、旬だってあんまり甘えてこられたらウザイと思うんだ。
曖昧な旬の返答に奈津美は落ち込んだ。旬なら、即答で『そんなことない』と言ってくれるのかと思っていたのに。