続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「ごめんね……あたし、もっとしっかりしないとダメだよね。あたしの方が年上なんだし……」


 そっと旬の背中にある手を離そうとした。


「……何言ってんの」

 旬がそう言った瞬間、奈津美は旬に組み伏せられて、仰向けになっていた。真上には、旬の顔がある。


「ナツ、謝らないといけないほど甘えてわがまま言ったことなんかないじゃん。なのに何で謝るの?」

 旬の手が、そっと奈津美の頬を包んだ。


「もっと……もっともっと甘えてわがまま言ったっていいんだよ。確かに、ナツの方が年上で、俺の方がそれに甘えてわがまま言ってるけど……でもナツだって、ナツの方こそ甘えていいんだよ?」

 そこまで言うと、旬は静かに微笑んだ。


「年上だどうこうって言う前に、ナツは俺の彼女だろ?」

 その言葉と共に、奈津美の目から大量の涙があふれ出た。


「えっ!? 何でそこで泣くの?」

 旬な驚いて、おろおろと奈津美を見下ろす。


「……旬〜」

 奈津美はなりふり構わず泣いて、旬の背中にしがみついた。


「何? どうした?」


 旬が聞くのにも答えられず、奈津美は必死に旬にしがみついて、泣いた。

 小さい子供のように、泣いた。


 旬はそんな奈津美を抱き締め返し、優しく、ゆっくりと頭を撫でてくれていた。


「ナツって、意外と泣き虫だよなぁ」

 旬がそう言って小さく笑った。


 普段だったら、怒っているところだが、今日はそんなことが出来なかった。


 旬と付き合うようになってから、本当に奈津美は涙もろくなった気がする。


 どうして、といわれたらはっきりとは分からない。

 しかし、もし一言で言うのなら、それは、旬のことが好きだから。

 旬のことが、愛しいから。


 そんな理由で、涙がでることなんて、信じられなかった。


 それでも今は、そんな理由で泣いている。


 涙が出るほど人のことを好きになったのは、愛しいと思うようになったのなんて、初めてだ。


 きっと、もうこんな風に人を好きになれることなんてないのだろう。そう思ってしまうほど……

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