続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「あーあ。俺も自分の車ほしーなー。大学行ってるヤツとかでもさ、もう自分の車持ってる奴いるんだよ。大体は中古で親ローンだけど。それで学校行ったりさ。そういうのはちょっとやってみたかったなー……」
旬が、遠くに視線を向けて嘆くように言った。
こんなことを言う旬は、見たことがなかった。
「……旬は、やっぱり大学に行きたかったの?」
試しに奈津美は聞いてみた。よく考えたら、このことを聞くことも初めてだった。
「ううん。俺、元々大学志望じゃなかったし」
「え……?」
あっさりと言う旬に、奈津美は言葉を詰まらせた。
「え……だって旬、大学受験したんでしょ? 滑り止めまで受けて……浪人してたらお金かかるから、だから働くんだって、そう言ってたじゃない」
「あー……うん。そうだけどさ」
旬は、言いにくそうに言葉を濁し、奈津美の表情を窺っている。
「……何?」
奈津美がしっかりと見返すと、旬は目を泳がせて咳払いをした。
「その……元々大学はさ、元カノが……ミキが行くって言ったから、行こうと思っただけなんだ」
「え……」
「あっ、ホント昔のことだから! 気にしないで!」
ミキの名前が出たことに反応したと思ったのか、旬は焦った様子でフォローをするが、そうじゃない。
勿論、予想外にミキの名前が出たことに驚いたのは確かだ。
しかし、ミキのことに動揺したわけではない。
「旬……自分で大学行こうと思ってたわけじゃないの?」
「うん……俺、元々は専門学校に行くつもりで……でも、ミキが行く大学に、俺が行きたい方面の学科があってさ。受けてみて、受かれば行って、ダメならダメで専門いこうかと思ってたんだ」