続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~


『旬のヤツ、浪人じゃないぞ。大学全部落ちて、専門行くつもりだったけど、それもやめたんだと』



 奈津美はふと、誰かが言っていたのを思い出した。


 誰だったか……記憶の糸を辿って奈津美は思い出そうとする。


 ……そうだ。あの時だ。居酒屋で偶然、旬の知り合いの話を聞いてしまった時。


 あの時、そんな話が出ていた。


 どうして、その時は何も疑問に思わなかったのだろう。


 旬から聞いたことのないその言葉を聞いたのに、何も気付かなかった。


「専門学校って、何の?」

 奈津美は頭に浮かんだ質問を投げかけた。


 『専門』学校というくらいだから、行くとなれば、はっきりとした目標があるということなんじゃないだろうか。


「そういえば……大学もどういう方面に行こうと思ってたの?」


 次々と浮かぶ疑問に、つくづく奈津美は何も知らなかったのだということを思い知る。


「んー。専門は機械系のとこ。大学も、工学部の機械工学科っていうのとこ。信じられないかもしんないけど、俺、実は理系だったんだよ」


「え……ええ!?」

 突然の告白に奈津美は目を見開いて驚いた。旬が言った通りに、信じられなかった。


「あー。やっぱそういう反応だと思った」

 旬はそうやって笑っている。


 そりゃあ驚くだろう。


 奈津美の勝手な想像だが、理系といえば、頭がよくて特に理数系の知識に秀でているという印象しかない。

 そんな雰囲気が、旬には皆無だったのだから。


 ……いや、でも、それは単に奈津美が知らないだけかもしれない。


 もしかしたら、高校までの旬は周りからそういうイメージを持たれていたのかも……


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