続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「……で、大学は、さっきもいったけど、ミキの第一志望の大学に、工学部あるって知ってさ。色々調べたら、レベルで言えば俺でも行けそうだったし、受験科目も、学校でやってて受けられそうだったし。せっかく理系に進んだんだから、受けてみるのも悪くないかなーって思って。落ちたら専門に行けばいいし。……まあ、結局ダメだったんだけどさ」
そう言って旬は苦笑した。
「え……」
『大学全部落ちて、専門行くつもりだったけど、それもやめたんだと』
……やめた? 専門学校に行くのを?
「旬……それでどうして専門学校行かなかったの?」
核心をついた質問に、奈津美の胸がジリジリと焦がされていくような感覚を覚えた。
まるで導火線に火をつけられたような、そんな感覚が……
「んー? だって、さ……」
途中まで言いかけて、旬はもじもじとして言いよどむ。奈津美にはそれももどかしい。
「何? 何なの?」
苛立ちもあって、奈津美はつい声を荒げてしまう。
しかし旬はそれには何も思わなかったらしく、チラッと奈津美の方を見たが、また前を見る。
「だって……ナツの彼氏になるのに、専門行ってのんびり学生してるわけにもいかないじゃん」
「え……?」
「ナツはもう社会人で、ちゃんと自分でお金稼いでるだろ? なのに俺は、バイトでちまちま稼いでる金しかなくて……全然対等じゃないじゃん。だから、俺は早くナツと同じ社会人になりたくて、行くのやめたの」
奈津美は、目を丸くするしかなかった。
「……こんなの、すっげーかっこ悪いから言いたくなかったんだけどさ」
旬は苦笑しながら奈津美を見た。しかし、奈津美のひどく驚いた顔を見て、きょとんとした表情に変わる。
「ナツ? どしたの?」
旬にそう聞かれて、奈津美ははっと我に返った。
「ううん……なんでもない」
奈津美は無理矢理笑顔を作って、旬に言った。
心の中に出来たしこりは、なくなるころはなかった。