続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
今夜は、旬がこの部屋に泊まる。
その間に、何とか話をしないといけない。
そうでないときっと奈津美はこの心の中でモヤモヤとしているものを拭い去ることはできない。
……と、分かっているのに、なかなか切り出せない。
矛盾してはいるが、不安でしょうがないのだ。
話すことで明らかになる真実に、怯えているのかもしれない。
「旬、お風呂沸いたから先入っちゃって」
風呂場からリビングに戻って、奈津美は旬に声をかけた。
「んー」
テレビを見ながら旬は生返事をする。
「旬ー。聞いてる?」
奈津美は旬の頭に手を置いて軽く揺さぶった。
「聞いてるよー」
顔だけを真上に上げて奈津美を見上げた。
「ナーツ」
旬が甘えた声を出して奈津美にひっついて、腰に手を回してくる。
「何?」
「一緒にはいろ?」
にんまりと笑いながら旬は言う。
予想通りだったので、奈津美はため息をついた。
毎回毎回、何度同じことを言われたか。
「嫌よ。ほら、早く入って」
あっさりと断り、奈津美は旬を促す。
「入ろうよー。俺、ナツと入りたいー」
これもいつものことだが、旬はすぐには引き下がらない。
「もー。旬ってばちっちゃい子じゃないんだから一人で入ってよ」
奈津美はため息をついてそう言った。
「一人で入れないんじゃないもん。一緒に入りたいだけだもん」
むくれながら旬が言い返す。
これこそ本当に小さい子供のようだ。
「別に一緒に入らなくてもいいじゃない」
「やーだー。入りたいー。体洗いっことかしたいー」