続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「何?」
「……ううん。カオルには否定されるんじゃないかと思ってたから……旬のことも考えてあげたらとか、言われるのかと……」
重ねてあるトレイと箸を取りながら奈津美は言った。
いつも、こんな風に奈津美が旬ともめたようなことを愚痴ったりすると、比較的奈津美が悪いと言われることが多い。(実際そうなのだが)
今回も、そんな感じでまたカオルにお叱りを受けるつもりでいたので、奈津美はなんとなく拍子抜けしてしまったのだ。
「まあ、あたしがもうちょっと若かったらそういう風に思うかもね。でも、奈津美と同じ立場だったらって考えたら、さすがにちょっとね……責任感じちゃうかなって思うの」
『責任』
その言葉を聞いて、奈津美はこの感情の一部の理由に気付いた気がした。
あの後味の悪いような、ジリジリと焦がされているような感覚は、責任を感じたからだったのか。
……いや、責任というよりは、罪悪感に近いかもしれない。
もしも、旬が奈津美に出会っていなかったら、きっと旬は自分の夢を投げ出さずにいたはずだ。
奈津美の存在が、旬の夢の邪魔をした。
もしも、奈津美と旬が出会っていなければ……