続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~

「あたしは……多分、旬のこと、ずっと見下してたんだ。旬には、誰かが……あたしがいないとダメなんだって、自惚れてて……ホント情けない」


 奈津美は膝の上で両手を握りしめ、下を向いた。


 旬は、いつも奈津美のことを思ってくれていて、奈津美に与えてくれたものはたくさんあるのに……そんな旬のことを縛りつけて、殺し続けていたのは、他ならない自分だったのではないのか……


 そうやって考えれば考えるほど、悪い考えにいく。今更気付いたって、遅いのに。


「……それで、奈津美はどうしたいの?」


「え?」

 カオルの声に奈津美は顔を上げた。


「奈津美が後悔したって、時間は戻るわけじゃないし。責任感じるんなら、考えてあげないと。旬君のこれからのこと」

 カオルは持っていた箸を置いて、真剣に奈津美のことを見てくれていた。


「奈津美が考えてあげないと、誰が考えるの?」

 その言葉に、奈津美ははっとした。


 そうだ。ここで奈津美が悩んだって、旬のためになることなんて、一つもない。

 ただ、自分の考えを旬に押し付けてるだけではないか。


 今、考えなければならないのは、旬のこれから、旬とのこれからだ。


「そうよね……あたしの責任だもん。あたしがちゃんとしないと。あたしがちゃんと旬と向かい合わないといけないのよね」


 今までだって、ちゃんと向かい合っていなかった。だから、今度こそ向かい合わなければならない。


「うん」

 カオルが微笑みながら頷いた。

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