続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
気付けば、四時前になっていた。知らないうちにゲームセンターでかなりの時間を過ごしていたらしい。
「なあ、そろそろ出ないか?」
旬がそう言い出した。
「そうだな」
さすがにもう飽きてきた涼介もすぐに頷いた。
外に出ると、旬は奈津美の手を取った。奈津美はいつものことなので、特に何も気をかけなかった。
「今からさ、観覧車いかね?」
旬は、三人に対して言った。
「え……?」
予想もしなかったことに、奈津美は目を丸くした。
「あれだけ乗ってなかったし」
旬は奈津美の様子など気にしていない。
さっき奈津美が観覧車の話をした時、涼介が乗れないと、旬が言ったはずなのに……
奈津美が涼介の方を見てみると、涼介は奈津美以上に驚いたようで、目が泳いでいる。
必死に旬を見て何かを訴えているが、旬は明らかに分かってて気付いていないフリをしている。
「うん。行こっか」
加奈が笑顔で頷いた。
その瞬間、旬の顔が僅かにニヤリと緩んだのを、奈津美は見逃さなかった。
「じゃ、別れて乗ろう。俺とナツで乗るから、そっち、涼介と加奈な」
「え!?」
もう隠すことなく、涼介は大声をあげた。
「じゃーな。また後で」
旬はそれだけ言い、奈津美の手を引いてさっさと歩きだした。
「しゅ……旬」
振り返って見てみると、涼介はあんぐりと口を開けていた。
「ねえ、旬。いいの?」
奈津美が聞くと、旬は笑顔で頷いた。
「いいのいいの。だってこれで二人っきりになれるだろ。涼介と加奈が」
「え……」
旬のしたり顔を見て、奈津美はすぐにピンときた。
「もしかして、そのために……?」
「そっ。いい考えだろ?」
旬は満足気だった。
旬が思いついた『いいこと』とは、旬が言っていた『考え』とは、このことだったということだ。
奈津美は言葉を失っていた。