続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「お足元にご注意してお乗りくださーい」
係員にそう促されながら、旬と奈津美は観覧車のゴンドラに乗り込んだ。
「俺、観覧車も久々なんだよなー」
狭い密室に向かい合って座り、旬は窓の外の景色を見ながらそう言った。
「ねえ……涼介君、大丈夫なの? こういうのが一番無理なんじゃないの?」
奈津美は確認するように旬に言った。
「うん。でもまあ、乗れないなら乗れないでいいと思うけどな」
旬は正面に向き直りながらそう答えた。
「何で?」
「どっちにしても俺らがこれ降りるまでは二人でいられるわけだし。それに、乗らないってことは、涼介が自分でホントのこと言ったってことだろ?」
「あ……」
旬に言われて、目から鱗だった。
旬はそこまで考えていたのだ。今日は、旬の意外なところに驚かされてばかりだ。
「まあ、どっちにしろ大丈夫だよ。あの二人、お互いに自分達は上手くいってないって思ってるけど、ただ単に一緒にいる時間が少ないだけだから。二人になってちゃんと話せば分かるよ」
「そうよね……」
旬の言葉を聞いて、奈津美はほっとしながら頷いた。
「旬。加奈ちゃんがまだ旬のことを好きなんて、ありえないわよね」
「……へ!?」
一瞬、間があいて、旬は間抜けな声をだした。
「何それ。ありえないし。何でそんなこと……って、え? 『まだ』?」
目を丸くして否定する旬だが、奈津美の言葉に引っかかりを感じて、きょとんとしている。
「旬。高校の時に加奈ちゃんに告白されたんでしょ?」
奈津美はさらりと言った。
「え……何で知って……」
「涼介君に聞いたの」