続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~



「お足元にご注意してお乗りくださーい」

 係員にそう促されながら、旬と奈津美は観覧車のゴンドラに乗り込んだ。



「俺、観覧車も久々なんだよなー」

 狭い密室に向かい合って座り、旬は窓の外の景色を見ながらそう言った。


「ねえ……涼介君、大丈夫なの? こういうのが一番無理なんじゃないの?」

 奈津美は確認するように旬に言った。


「うん。でもまあ、乗れないなら乗れないでいいと思うけどな」

 旬は正面に向き直りながらそう答えた。


「何で?」


「どっちにしても俺らがこれ降りるまでは二人でいられるわけだし。それに、乗らないってことは、涼介が自分でホントのこと言ったってことだろ?」


「あ……」

 旬に言われて、目から鱗だった。

 旬はそこまで考えていたのだ。今日は、旬の意外なところに驚かされてばかりだ。


「まあ、どっちにしろ大丈夫だよ。あの二人、お互いに自分達は上手くいってないって思ってるけど、ただ単に一緒にいる時間が少ないだけだから。二人になってちゃんと話せば分かるよ」


「そうよね……」

 旬の言葉を聞いて、奈津美はほっとしながら頷いた。


「旬。加奈ちゃんがまだ旬のことを好きなんて、ありえないわよね」


「……へ!?」

 一瞬、間があいて、旬は間抜けな声をだした。


「何それ。ありえないし。何でそんなこと……って、え? 『まだ』?」

 目を丸くして否定する旬だが、奈津美の言葉に引っかかりを感じて、きょとんとしている。


「旬。高校の時に加奈ちゃんに告白されたんでしょ?」

 奈津美はさらりと言った。


「え……何で知って……」


「涼介君に聞いたの」


< 51 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop