続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
奈津美には、何となく二人の気持ちが分かった。
奈津美も、こんなに旬の近くにいたのに分からなかったことだってあった。
勘違いして、相手の気持ちを悪い方に思い込んでしまったことだってあった。
涼介と加奈の場合、離れている時間が多いせいで尚更だろう。
「俺さあ、二人には別れて欲しくないんだ」
旬が真剣な顔をして言った。
「涼介も加奈もすっげー大事なダチだし……つうか、涼介のおかげなんだよ。加奈と今もダチでいられるの。俺、加奈とは結構話合うから仲良かったんだけどさ……加奈に告られてからしばらく話せなくなって……でも、涼介と付き合ってから、また話せるようになったんだ。前と同じくらいに。……だから……涼介には感謝してるっつうか」
そういう旬は、ほんの少し照れ臭そうだった。
分かっていたことだけれど、旬は、優しい。人との関係を大事にしている。
それを改めて知って、奈津美は和やかな気持ちになった。
「……だから、今日のこと引き受けたのね」
「うん……うーん?」
旬は最初は頷いたが、すぐに首を傾げる。
「何?」
「いや……確かにそれもあるんだけど……その……俺も、ナツと来たかったから……」
「え?」
「……ナツ、こういうトコ、あんまり好きそうじゃないから、今まで誘ったりできなかったし……だから、今日は何気に楽しみにしてて……ごめんな?」
旬は奈津美をじっと見て謝る。
「何で謝るの?」
「だって……俺の勝手だったし……結局ナツ、気分悪くしちゃってさ?」
奈津美の表情を伺いながら旬はポツポツと答える。
奈津美は、そんな旬の様子を見て笑った。
「別に……気にしてなんかないわよ。旬が勝手なのはいつのもことじゃない」
「え!? 俺いつもそんな勝手だった!?」
旬は奈津美の言ったことを真に受けて目を丸くする。
「嘘。冗談よ」
奈津美はそう言って笑った。
「何だよー」
むくれる旬を見て、奈津美は笑った。
それにつられて、旬も笑った。