続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~
「ナツ。こっち来て」
旬は自分の座っている隣を軽く叩いて言った。
「あたしがそっちいったら傾いちゃうわよ?」
「大丈夫だよ。ナツ、軽いし。つうか、今だってちょっと傾いてるんだから変わんないって」
奈津美は小さく、もうっ、と呟き、旬の隣に腰を下ろした。
「ナツー」
横に座ると同時に、旬は奈津美の体を横抱きにした。
「何? 旬……いきなり……」
「別にー? 俺達も何だかんだで今日はあんまり一緒にいなかったから」
そう言って、旬は奈津美に頬を寄せた。
「あ!」
そのままの状態で旬が叫んだ。
奈津美の肩がビクリと動いた。
「びっくりした……旬、いきなり耳元で叫ばないでよ」
奈津美は顔を旬の方に向けた。
「だってだって! もうてっぺん過ぎてたし!」
「え?」
「観覧車がてっぺんに来たときにナツとチューしたかったのにー……」
旬は心底悔しそうにそう言った。
奈津美はポカンと旬のことを見た。そしてすぐに笑った。
「何? ナツ、何で笑ってるの?」
旬は奈津美を見てきょとんとしている。
「だって……それぐらいのことで悔しがることないじゃない」
「何だよー! 俺にとっては大事なことなのにー!」
「いいじゃない。別に。また今度、来た時でも」
その言葉が意外だったのか、旬は目を見開いた。
「何?」
「だって……ナツからそんな台詞が出るとは思わなかったから……」
「あたしそんな変なこと言った?」
「ううん。超可愛いこと言った」
旬はそう言って笑顔になり、奈津美を抱き締める腕に力を込めた。