続・ダメ男依存症候群 ~二人で一つの愛のカタチ~



 観覧車から降りたあと、奈津美はさっさと歩き出す。旬とは並んで歩かない。


「待って。ナツ……ごめんて……ちょっとふざけすぎて……」

 頬に手形をくっきりとつけた旬は、奈津美の背中を追いかけて話しかける。

 しかし奈津美は答えない。


「でも別に誰も居ない場所だったんだし……」

 これも無視する。


「ナぁーツぅー! 許してよー……!」

 旬は少し泣き声になって奈津美に向かって叫ぶ。

 その声の大きさに、奈津美はぎょっとする。


「ちょ……もうっ! 分かったからそんな大声出さないでよ!」

 奈津美は旬を振り返って慌てながら言った。


「だってナツが無視するからー……」


「自業自得でしょ!」

 むくれる旬に対して、奈津美は厳しく返す。


「でもー……あ」

 何か言い返そうとした旬の視線が、奈津美から外れて一点でとまる。


「何?」

 奈津美もつられて旬の視線の方を向いた。


「あ……」

 奈津美も旬と同じように、声を漏らした。


 そこには、涼介と加奈が並んで歩いてくる姿が見えた。

 二人は奈津美と旬が歩いてきた方向と同じ……観覧車のほうから歩いてきている。


 ということは、乗ってきたのだろうか……いや、乗ってきたのだ。

 それは、二人を見て分かった。


 二人は、しっかりと手を繋いで、歩いている。それを見ただけで……


「ほら。大丈夫だったろ?」

 旬がニッっと笑いながら言った。


「うん……」

 奈津美は静かに頷いた。

 二人が、奈津美と旬の方に気付いて、加奈が手を振ってくる。

 その表情は、とても幸せそうな、笑顔だった。


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